晩秋の尾瀬  テントを担いで歩きたい 後編

うち。

2022年10月27日 21:48














 この日、尾瀬は初霜だったらしい。


道理で寒かったはずだ。



寝ている間は、ダウンジャケットに

ダウンパンツを着込み、ダウンシュラフの

首元のドローコードを締めていたので

ぬくぬく。


エアマットも持って行ったので目覚ましが

震えるまでまでぐっすりと眠れた。



もう少し寝ていたい気持ちを振り切り、

フライシートのファスナーを開けると同時に

ばらばらと氷片が落ちてくる。


完全に凍ってるではないか。

テント内に入らぬようにはたいてから

もう一度。


キンとした朝のこの空気、

これって完全に冬キャンプ。



モンベルのアルパインサーモボトルから

お湯を出すが、さすがにぬるい。

沸かしなおしてコーヒーいれる。



今日は尾瀬ヶ原を抜けて燧ケ岳を行く。


あまりゆっくりとしてはいられないので

簡単に朝食を済ませてテントを畳もう。

























































 ザックを背負って歩きだす。


 まだ、誰もいない。



霜の降りた木道に慎重に足をのせていく。


想像していた尾瀬ヶ原の風景とはだいぶ違うが

これもとても素敵だ。


燧ケ岳まで伸びる道、振り返れば赤く染まる

至仏山。

ワクワクするな~  

とこの時はまだ、そういう気持ちだった。



それにしても、誰もいない。

こんな早くから歩いているヤツはいないのか。



 
しばらく進むと、カメラマン数人と出会う。 


皆、大きな三脚と長いレンズを携えて。



どんな画を切り取っているのだろうか。


同じ方向を見ながら、スマホでパシャリ。


似ても似つかぬ物が撮れたに違いない。

































 龍宮小屋を過ぎると、ハイカーさんと

すれ違うようになった。見晴に泊まっていた

方が多いのかな。


ご挨拶をし、そこからしばらく立ち話と

なることもしばしば。


その中でベテランハイカーさんより

こちら側から登る燧ヶ岳は結構ハードだと

伺った。 

一昨日の雨の影響で山道もかなり

ぬかるんでいる様子。


アドバイスにお礼を言って別れたが、

「ハードなんだ、やっぱり。 

見るからにそうだもんな」



心してかかるか。



尾瀬ヶ原の東端、見晴を過ぎて山に

入っていく。



気持ちのいい尾瀬ヶ原だったが、

また違う季節、時間帯に訪れたい思った。




燧ケ岳への西側登山道、見晴新道。

ゆっくりゆっくりと歩み進める。

尾瀬ヶ原を歩いてきて体は暖まっているが

ここで調子に乗ると後が大変だ。


ベテランハイカーさんの言った通り

道はかなりぬかるんでいる。


足を取られぬよう、滑らぬよう慎重に。



それにしても誰もいない。


昨日の至仏山といい、登るルートが

マイナーなんだろうか。



だんだんときつくなってきた。

ザックを降ろして休憩を入れる。



この辺のペース配分、休憩時間や

その間隔が下手くそなんだよな~

先は長いのにとっとと行こうとする。


いかんいかん。



それにしても、長い、、、

本当に。
















もう少しか、






























 つ、ついた。

やっと、ついた。

気力も体力も少しの余力もない。

ぎりぎりじゃないか。

危うく尾瀬が苦い経験となるところだった。

もっとこまめに休憩を入れよう。




ん?  なんだ??

山頂は結構にぎわってるぞ??


ここまで二人のハイカーとすれ違った

だけだったのに。


マイナールートを確信した瞬間。



柴安嵓から俎嵓に移動しゆっくりと休憩を

取ることにする。



俎嵓の方がこれから行く尾瀬沼がよく

見えるから。



こちらのピークも結構な賑わい。


ソロの登山者が多かったが、ご挨拶をして

話をしているうちに、一人加わり、もう一人と

気づけば4人ぐらいで山の話をしている。



これこれ、こうじゃないと。


楽しい山の話をたくさん聞かせていただき

休憩もたっぷりとできた。


「また、どこかで」

お決まりのセリフで皆別れた。




下山ルートだが、またしてもマイナーな

道を選んでしまったようだ。



せっかく尾瀬を歩くのだから尾瀬沼も

満喫したいとそこへ向かって真っすぐと

下りる道(ナデッ窪)を選択。


しかし、等高線を細かく確認していなかった。

その間隔は相当に狭かった。


そう、ものすごく急な下り坂。

岩もゴロゴロでとにかく歩きづらい。


あ~失敗した。 時間ばかりかかってしまう。


そんな道だから、これまた誰とも出会わない。


こんなところで転んだら、、、

誰にも助けを呼んでもらえない。


長英新道にしておけば良かったと、

ずっと思いながら、今さら引き返せないと

この日一番に慎重に歩いたのだった。

























ようやく尾瀬沼まで下りてきた。
























これまた誰もいない。


14:00頃だったか、時間的にこの辺りを

通過するハイカーさんはあまりいないのか。


草黄葉というよりもう枯れている、

秋が通り過ぎて行った尾瀬沼だから

なおさらだろう。























静かな尾瀬沼を満喫できた。

これもあの急な下り坂を選んだ成果だな。


結果オーライだが、もう一度あの道を

通るのはやめておこうとも思った。























 ようやく尾瀬沼ヒュッテに到着した。

テント場の受付を済ませる。

この日は僕で3人目だったようだ。


3番の受付札を渡されたが、

空いているところならばどこでも

設営してよいとのことだった。



 休憩を何度も入れたが、ここまでの行動で

すっかりクタクタ。


もう歩きたくない。

なので、設営サイトは受付から一番近い、

1番のサイト。



設営を終えたら、受付時に購入した

サッポロを頂こう。



気温は昨日より高いし、体温低下とはならない

だろう。

がしかし、そういう理屈よりもなによりも、

もう我慢ができない。



では、尾瀬に、クタクタな自分に

乾杯!

















食事をとった後、シュラフにくるまり

本を読んでいたはずが、あっという間に

落ちていたようだ。

夜中に寒さで目が覚める。

今度はしっかりとシュラフのドローコードを

引いて眠りにつく。






















 最終日

この日も天気がよく、楽しく歩けそう。



この日は下山するだけ、2時間弱の歩行予定。

ゆっくりと歩き始める。
















 尾瀬沼、燧ヶ岳にたっぷりと時間をかけて

別れを告げ、峠を越えていく。






































峠を越え、標高を下げていくと紅葉が見事!

先を急がない下山だけのこの日は、

立ち止まってはパシャリ。

同じような写真が量産されていく。


尾瀬沼、尾瀬ヶ原でこれが

楽しめなかったのは

少し残念ではあるけれど、

最後にこの紅葉山歩。


十分に満足できた。




尾瀬、

また別の季節にテントを担いで歩いてみたい。


登山をせずに尾瀬ヶ原を歩き、

キャンプを主体にしても面白いだろうと

思った。


次は見晴キャンプ場で過ごしてみたいな。


是非来年。






ハイキングは楽しい。


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